爽やか友情を書いてみた話
「ほい」
「なに?」
「ガチャ」
俺は亀山に、スマホの画面を見せた。
亀山は首を傾げる。
「ガチャがどうかしたのか?」
「引いて」
彼は画面をタップしたが、何も起こらない。
当然だ、このガチャはタップじゃなくて、タップしたままスライドしないといけないのだから。というか、画面にがっつり書いてある。
本当に、スマホゲーやったことないんだな。疑っていたわけではないが。
「ここ引っ張るの」
「こうか」
亀山は、俺のいう通りにガチャを引いた。
画面が白く光って、光の玉が10個並ぶ。
光の玉はどれも白、一つだけ青。いわゆる、最低保証ってやつだ。
欲望センサーに引っかかる要素皆無の亀山でも0.3パーセントを引き寄せるのは難しかったらしい。
だが、亀山は食い入るように画面を見ている。
普段ならスキップするが、ガチャ開封の様子をそのまま眺めた。
「なんかすごい感じ?」 と、亀山は少しはしゃいだ。
「いや、フツー」
「そうなのか」
「うん、ありがとな」
ポッケにスマホをしまい、俺が亀山と向かったのは本屋だ。
彼が追いかけている好きな漫画の新刊が出たらしい。
亀山はその帰り際気紛れに俺にチョコを寄越した。
「ガチャ、フツーだったんだろ」
何もそこまでしなくても。そう手のひらにある一粒のチョコを眺めた。
ひょいと食べると甘かった。
「ありがと」
「おう」
***
タイトル「ガチャと漫画とチョコレート」