帰ってこない返事
小さな壷の中には、燃やしきることの出来なかった白い欠片が入っている。
両手で抱えられるだけの大きさ。手に伝わるのは無機質な冷たさ。肌を撫でる風は冷たく、足元に寄せる波はさらに冷たい。鼓膜をゆするのは波の音だけで、鼻をくすぐるのは塩臭さ。
目の前に広がるのは全ての母ともいわれているが、底に沈むのはなにかの過去だ。
貴方は本当に、それの一部になりたいというのだろうか。
そう伝えたのなら、貴方はどう返したのだろうか。
私は貴方の返事を想像した。貴方の表情を、仕草を、声を、瞼を閉じて想像した。輪郭はぼやけている。張り付けた笑顔に、平坦すぎる声。あまりにも拙いつくりものは、何もかもに自分の願望が見え隠れして嫌になる。こんな薄っぺらい願望で貴方を上塗りしてしまいたくない。
瞼を持ち上げて、水平線の向こうに沈む赤い太陽を見た。
眩しさに目を細め、視線を落とせば、波にのまれる自分の足が見える。
水面に映る影は一つだけになってしまった。
「お題で執筆!! 短編創作フェス」のお題「骨」