ミミズが這ったような文字
変哲もない真白な紙に、綴られている汚い文字。辛うじて文字の形をしているだけの、黒い線と点の羅列だ。いつ書いたのかは忘れてしまった。ただ、覚えているのはその文字は恥ずかしい自分に宛てた、痛々しい何かであるということだ。だから私は、その紙を手の中に小さく丸めて、ごみ箱に放り投げた。蓋を閉めた後に残ったのは、その内容と、目を通さなければよかったという後悔だけだった。
暗い森の中、土のはだけた道の端、白く小さな花が咲いていた。微かな風にも揺らされるほどに小さなその花は、誰の目に留まることもなかった。花弁の大きさはどれも均一で、汚れも傷もなく染め上げたかのような純白は、奇怪なほどに美しかったはずなのに。
人からもらったものといえば、汚い土埃だった。せっかくの純白は、あっという間に失われた。放り投げられたごみに花弁は傷つけられた。終いには茎を踏みにじられ、立ち上がることすらできなくなった。とはいえ、これはすべて偶然の出来事であり、誰も彼も花を壊そうだなんて微塵も思っていなかった。
迷惑な赤い雨が降りかかったのも、偶然だった。純白は見る影もない。そんな時にある人間に摘み取られた。だがその人の目は美しいものを見ているとは、到底思えなかった。
白と赤とが交わり、透けて見える薔薇色。その色を得たとたん、花の命は摘み取られてしまったんだ。
「お題で執筆!! 短編創作フェス」のお題「薔薇色」