余剰魔力と基礎構成魔力について
今は宿で休憩中だ。手元の手記から顔を上げる。
目に入る壁は砂でできているらしいけど、快適だし、なんならさっきまで砂でできていたことを忘れていたくらいだ。
アルシアさんだって、いつも通り魔法書に読み耽っているし、ケインは請求書を淡々と認めている。
「アルシアさん。魔力が込められている砂って言ってたけど、この世の全てのものに魔力があるんじゃないの?」
「おう、どんなものにも魔力は込められている。最近じゃ基礎構成魔力って言われてるやつな」
「となると、そこら辺にある砂も固めようと思えば固められるってこと?」
「まぁ方法はなくはねぇけど」
アルシアさんは、魔法書のページを捲りながら答えていた。
「ユウが言ってんのはこいつをフツーの砂で作れっかってことだよな」
アルシアさんはそう言って、こんこんと砂を叩く。
俺は頷いた。
「結論から言えば、できねぇ。サモンの砂の形状固形化に使われてんのは余剰魔力。そいつが外部からの刺激にで、基礎構成魔力に対して形状の固定化を促す。結果、固定されるって流れだからな」
「……えっと、余剰魔力が」
「サモンの持つ砂は、形状を半永続的に固定化する性質がある。その性質を発生させるのは余剰魔力、影響を受けるのは基礎構成魔力。その程度の認識で問題ないかと」
「んー……」
「何かご不満でも?」
アルシアさんは相変わらず魔法書を読んでいる。
ケインが視線を向けるも、気にするそぶりすらない。
アルシアさんは頬杖をつくと。
「いいえー」
とだけ、言ってまたページをめくった。