緊急クエストの裏側
緊急クエスト、シロタマモドキの討伐後。
手記で緊急クエストについてまとめていた時の話だ。
ケインさんに緊急クエストについての話をしてみたら「裏があるものもある」といわれ、それについて細かい話をしてもらうことになった。
「緊急クエストの前提は問題ないですよね」
「緊急性が高いクエストですよね?」
「はい、そして緊急クエストの発行方法についてはご存じですか?」
「依頼の時に、追加でギルドにお金を払うん…でしたっけ」
「はい、そのことによりクエストの優先順位を引き上げることが可能です」
「でも態々お金を払うんだから本当に切羽詰まってるってことじゃないんですか?」
「そうですね。そういう経緯が殆どですが、ごく稀に別の経緯で優先順位を引き上げることがあるのです」
俺は首を傾げた。
「依頼主がお金持ちで、お金なら払うからすぐに対処してくれとか、ですか?」
「そういう経緯もありますが、仮に資金が潤沢な方ならばギルドではなくより公的な機関に頼るのが一般的です」
確かに、冒険者ギルドは場所にもよるが人の集まりが一定じゃないし、あくまで冒険者とか魔王討伐を目指している人たちの集まりだ。俺が登録番号002024だから、単純に2000人くらいしかいない。それも全員が全員生きていれば、引退していなければの話だ。もちろん俺以降も増えてはいると思うが……。今は置いておこう。
「裏があるっていうのがいまいち想像できないです」
「端的に言えば、公的な機関に頼れないような怪しいクエストということです。実際に私が経験したのは、表向きは荷運びでしたが、運び先が窃盗団だったというものです」
「それってどうしたんですか?」
「危うく命を取られそうになったため、一掃しました。ギルドに報告したところ、公的機関に引き渡してほしいとのことだったので、その通りにしました。かなり名前の通っていた盗賊団だったので報酬もたくさんいただけました」
月並みな話だけど、魔物より人間の方が怖いのかもしれない。
というか公的機関に引き渡してお金貰ったのか、ケインさん。抜け目ないな。
……ん?
「それって、不祥事を軽くもみ消されていませんか? ギルド側も巻き込まれた形ですけど……」
「その点については、否定できませんね。従ってしまった後なので私はギルド側を非難することは出来ません」
ケインさんは空になった紅茶を、ソーサーに置いた。
「ギルド側を庇うわけではありませんが、悪用しようとする人間を完全に防ぐことはとても難しいことは事実です。あくまでお金のやり取りの上で成り立っている組織ですからね」
理解はできるけれども、もやもやした。
「ギルド側がより良い組織になるのを願うのも良いですが、自分の行動の責任は自分にあるものです。私のようなことにならないように、精査はしっかりとしましょう」
シロタマモドキの時もちゃんと精査してくれてたってことで良いのだろうか。