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05.魔王とフォルティアについて(イツノマチ)

提供者:フォルティアの元パーティメンバーの子孫

彼女の話は150年前、フォルティア一行が魔王の根城に辿りついた時の話である。
その頃、その場所はまだ『最期の楽園』という名を持っていなかったそうだ。

たどり着いたその場所は驚くほどに静かであった。
魔王さえうたた寝をするほどに、穏やかな光が大地に降り注いでいたらしい。
迷うことなく、フォルティアは魔王の首へ向けて剣を振り下ろした。

そのはずだった。

何が起こったのか、魔法使いの目にはわからなかった。
ただ、次の瞬間フォルティアの剣が魔法使いの目の前に落ちていたそうだ。

なぜ、その状況で魔法使いが生き残ったのか尋ねると、彼女はこう語った。
魔王は逃したのだという。
「君の魔力は好みじゃないから、いいよ逃げて。お残しはいけないしね」
その一言だけ告げられて。

魔王の首筋にはフォルティアがつけた一筋の切り傷があった。フォルティアがつけたものだと思われる。
だが、その傷は魔法使いが沈黙する間に塞がってしまった。

フォルティアが魔物を最も屠ったというのも、本当だろう。
彼は目につく魔物を根こそぎ狩るような勇者候補だった。
ダンジョンの噂を聞くたびに、それらを一掃しようとするあまり仲間が無理やり先へと進ませるほどだ。
最も討伐に近づき、最も時間をかけた旅だったそうだ。

記録者:ルーカス